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遺言の基礎知識

遺言にはどのような方法があるの?

遺言は,法律上定められた所定の方式にしたがって作成されたものだけが有効となります。
一般的な方法としては,①自筆証書遺言,②公正証書遺言,③秘密証書遺言の三つがあります。

  • 自筆証書遺言
    読んで字のごとく,遺言者が自筆で作成する遺言書です。
     
  • 公正証書遺言
    証人二人以上の立会いの下,遺言者が,公証人に対して遺言内容を口述し,その内容をもとに公証人が作成する遺言書です。
     
  • 秘密証書遺言
    遺言者が作成した遺言書を入れた封書を,公証人及び証人の前へ提出し,1.自分の遺言であること及び2.遺言者の住所・氏名を申述して作成する遺言書です。

自筆証書遺言の作成方法

自筆証書遺言の場合,遺言者が遺言の全文を自筆することが絶対条件です。
遺言の内容だけでなく,日付及び署名も必ず自署でなくてはなりません。

  • 紙はどのような紙でも大丈夫です。
  • 遺言であることを明確にするため,「遺言書」という表題があった方がよいでしょう。
  • 遺言の内容は明確に,「誰に」「何を」相続させるのかきちんと特定しましょう。
  • 最後に日付と署名を忘れずに記載してください。
  • 封筒に入れてのり付けしておいた方がよいでしょう。
平成30年相続法改正

平成30年の相続法改正により,自筆証書遺言に添付されるべき財産目録については,直筆でなくても良いことになりました。ただし,財産目録の全ページに遺言者が署名・押印することが必要です。

遺産が多数ある場合,財産目録を直筆で作成するのは非常に手間だったのですが,この改正により,財産目録自体はパソコンで作成することができるようになりました。また,この改正により,預貯金通帳の写し不動産の登記事項証明書等を財産目録の一部として添付することも可能になりました。

遺言書保管制度の新設

平成30年相続法改正の一環で,法務局における遺言書の保管等に関する法律遺言書保管法)が新たに制定されました。これにより,自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことができるようになりました。

従来,自筆証書遺言は,遺言者が自宅で保管していることが多く,紛失,無断閲覧,改ざん等のリスクが避けられないものでした。しかし,新たに制定された遺言書保管制度により,これらのリスクを避けることができるようになります。

また,この制度に基づいて保管されている自筆証書遺言については,家庭裁判所による検認の手続が不要とされることになりました。

公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言は,公的な資格を有する公証人が作成し,作成後は公証人役場に保管されますので,作成の際に間違いが起こる危険性が低く,作成後に変造される危険もほとんどありません。
遺言の効力が問題となることがほとんどありませんので,しっかりとした遺言を残したい方には一番おすすめの方法です。

  1. 遺言者が遺言の内容を公証人に口述します(弁護士に遺言書の作成補助を依頼する場合は,事前に公証人と弁護士が内容を打合せします)。
  2. 公証人が遺言の内容を筆記します。
  3. 公証人が筆記した遺言の内容を,遺言者および証人(2人以上)に読み聞かせ,または閲覧させます。
  4. 遺言者および証人が署名・押印します。
  5. 最後に,公証人が署名・押印します。

秘密証書遺言の作成方法

自筆証書遺言の場合と異なり、署名・押印さえ遺言者が行えば、パソコンで作成してプリントアウトしたものでもかまいません。
公証人が作成に関与しますが、公証人役場が保管するのではなく、遺言者がみずから保管します。

  1. 作成した遺言書を封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑で封印します。
  2. 公証人役場で、公証人及び証人(二人以上)の前で、遺言書の入った封筒を提出し、自己の遺言書であることを述べます。
  3. 公証人が、封筒に提出の日付および遺言者の述べたことを記載します。
  4. 遺言者、公証人、証人が封筒に署名・押印します。

遺言に何を書けばよいのか

遺言の内容には、書いたことによって法律的に効力を有する事項と、書いても法律的には無効である事項があります。

法律的に効力を有する事項は、法律によって定められており、それ以外の事項は書いても道義的な効力しかありませんが、書いたことによって相続人が事実上尊重するということはあり得ます。

法律的に効力を有する事項

遺言で定めておくことにより効力を有する事項のうち代表的なものには、以下のような事項があります。

  1. 子の認知
    遺言執行者を定めておく必要があります。
  2. 未成年後見人及び未成年後見監督人の指定
  3. 相続分の指定(または指定の委託)
    法定相続分と異なる指定ができます。
  4. 遺産分割方法の指定(または指定の委託)
    ※相続人が遺産分割協議を行う際の指針となります。
  5. 遺贈、寄付行為
  6. 遺言執行者の指定(または指定の委託)
  7. 遺産分割の禁止
    ※ただし、禁止できるのは相続開始から5年以内に限ります。
  8. 遺留分減殺方法の指定
  9. 相続人の廃除または廃除の取消し
    ※「相続人の廃除」とは、遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して、虐待または重大な侮辱を行い、あるいはその他の著しい非行があるとき、遺言によってその者の相続権を奪うという制度です。遺言執行者を定めておく必要があります。
  10. 保険金受取人の指定・変更
  11. 祭祀承継者の指定

「相続させる」旨の遺言

特定の相続人に対して特定の財産を承継させる場合について,公証実務では「遺贈」ではなく,「相続させる」旨の遺言が作成されてきました。

遺贈の場合,登記をするに当たって共同相続人との共同申請が必要となり,また農地法の許可が必要になるなどの問題があったため,公証実務上の工夫として「相続させる」旨の遺言を作成する実務慣行が確立されていたのです。

この「相続させる」旨の遺言については,その法的性質や法的効果について見解の対立が生じていましたが,最判平成3年4月19日・民集45巻4号477頁は,「何らの行為を要せず,被相続人の死亡の時にさかのぼって直ちに当該遺産がその相続人に相続によって承継される」と判示しました。

したがって,遺言書の作成に当たっては,特定の財産特定の相続人に承継させたい場合,「相続させる」との文言を用いるのが通常です。一方,相続人以外の第三者に承継させたい場合には,上記の意味での「相続させる」旨の遺言をすることはできません(遺贈の方法によることになります)。

最判平成3年4月19日
  • 遺言書において特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言者の意思が表明されている場合,…遺言者の意思は,…当該遺産を当該相続人をして、他の共同相続人と共にではなくして,単独で相続させようとする趣旨のものと解するのが当然の合理的な意思解釈というべきであり,遺言書の記載から,その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り,遺贈と解すべきではない。
     
  • 右の「相続させる」趣旨の遺言,すなわち,特定の遺産を特定の相続人に単独で相続により承継させようとする遺言は,…被相続人の意思として当然あり得る合理的な遺産の分割の方法を定めるものであって,民法908条において被相続人が遺言で遺産の分割の方法を定めることができるとしているのも,遺産の分割の方法として,このような特定の遺産を特定の相続人に単独で相続により承継させることをも遺言で定めることを可能にするために外ならない。
     
  • したがって,右の「相続させる」趣旨の遺言は、正に同条にいう遺産の分割の方法を定めた遺言であり,他の共同相続人も右の遺言に拘束され,これと異なる遺産分割の協議,さらには審判もなし得ないのであるから,このような遺言にあっては,遺言者の意思に合致するものとして,遺産の一部である当該遺産を当該相続人に帰属させる遺産の一部の分割がなされたのと同様の遺産の承継関係を生ぜしめるものであり,当該遺言において相続による承継を当該相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り,何らの行為を要せずして,被相続人の死亡の時(遺言の効力の生じた時)に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継されるものと解すべきである。
平成30年相続法改正

平成30年の相続法改正により,いわゆる「相続させる」旨の遺言の場合であっても,法定相続分を超える部分については,登記等の対抗要件を備えない限り,第三者に権利を主張できないこととされました。

今後,遺言を作成する場合には注意が必要です。

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